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🍊1. まずはEthereumのおさらい
Ethereumは、スマートコントラクト(自動プログラム)を使って、より多彩なアプリを動かせるのが大きな特徴です。DeFi(分散型金融)やNFTも、Ethereum上で一気に広がったんですよね。立役者でしょ?でも最近話題に乏しい。Solanaにガンガン押されてる。オワコン?いやいやそんなこと無いですよ。
💡スマートコントラクト:プログラムに従って自動で契約を実行する仕組み。たとえば「支払いをしたら商品データの鍵を渡す」などをコードで書いておける。
1-1) EEA(Enterprise Ethereum Alliance)の動きに注目
2017年前後、EEA(Enterprise Ethereum Alliance)が発足し、「大企業がEthereumを使うかもしれない」というニュースがありました。当時は実証実験レベルが主でしたが、最近は本格導入を見据える企業が増えたことで、再びEEAに注目が集まっています。
企業が本気になる理由は?
レイヤー2の技術進化で手数料が下がり、利用しやすくなった。
規制面の変化で「Ethereumなら比較的安全かも」という見方が強まってきた。
米ドルのステーブルコイン(USDCなど)がEthereumで幅広く流通し、企業の国際決済にも使いやすくなってきた。
さらにEEAは、「Ethereumをビジネスにどう活かせるか?」という調査や標準化を続け、最近「Ethereum Business Index(企業がどれだけEthereumを使っているかを測る新しい指標)」の準備にも取りかかっています。企業の動きを具体的に可視化し、データに基づいて導入を促進する狙いがあるようです。
2. Pectra(ペクトラ)アップグレードがやってくる
Ethereumはアップグレードを定期的に行ってきましたが、2025年3月頃(予定)に控える「Pectra(ペクトラ)」というアップデートは大規模なものになりそうで、注目が集まっています。
EIP-4844(ブロブ強化)
レイヤー2が使う大量データの保存(ブロブ)をより効率化し、結果的に手数料を下げる仕組みです。
💡EIP-4844 :一時的なデータ保存メカニズムであるBlobトランザクションを導入し、ネットワークのスケーラビリティ向上を目指す提案です。ブロブとして扱うデータは期限付きで保持され、長期的なオンチェーン負荷が抑えるようになるようです。
古い仕様の整理
これまでのバイトコードや使わなくなった部分を片づけ、もっと軽快で安全なネットワークになる。
💡バイトコード:Ethereum上で実行されるプログラムのコード。アップグレードで新方式が追加されると、古い方式をどう扱うのかが課題になります。
2-1) アップグレードを急ぐ理由は?
Ethereumの開発者たちはこれまで、安全第一で慎重にアップグレードしてきました。しかし最近はレイヤー2などの需要拡大や、他のチェーンの台頭もあって、もっと素早く対応しないとマズイ!となってきたんですよね。
次のアップグレードとしてFusaka(フサカ)やGlamsterdam(グラムステルダム)なんて名前も挙がってきており、短いスパンでどんどん改良していこうという流れになってきてます。
3. レイヤー2(L2)の広がりとインターオペラビリティ
3-1) L2がいっぱい出てきた!
Ethereum本体(L1)は堅牢で安全ですが、取引が増えるとガス代が上がりやすい欠点があります。そこで登場したのがレイヤー2(L2)ってわけです。
L2は、Optimism, Arbitrum, Baseなどが有名どころです。
ZK Sync, StarkNetといったゼロ知識証明(ZK)ベースのL2も台頭しています。
💡ZK Rollups :高速かつ低コストなトランザクション処理に加え、プライバシー保護機能を提供できる技術。Ethereumのスケーラビリティ拡大を後押しして、将来的には多くのアプリケーションがZK技術を採用する可能性があるんですよ。
3-2) L2同士の連携(インターオペラビリティ)
L2が増えるのは良いのですが、チェーンごとに独自ルールがあるため、ブリッジを使って資産を移動しなければならないケースが多いです。
ここで話題になるのが「インターオペラビリティ(相互運用)」っていうワードです。複数のL2がスムーズに連携できれば、ユーザーはチェーンの違いをあまり意識しなくて済む世界がやってきます。たとえば、「ウォレットは1つだけど、勝手に最適なL2が選ばれて手数料が最安になる」って感じになる。
遠くない未来では、これが普通になります。しかもそれをAIエージェントが裏で勝手にやってくれるから、表のユーザはチェーンが色々ある事自体意識しなくて済むようになりますよ。
💡ブリッジ:異なるチェーン間でトークンやデータをやり取りする仕組み。手間やリスクがあるため、これを解消したいという声が大きいんです。
4. ベースロールアップ&ネイティブロールアップ
専門家の間で注目される2つの概念がありますので整理しておきます。
4-1) ベースロールアップ(Based Rollup)
L2がそれぞれ共通の“土台”を使うことで、初めから相互運用がしやすいように設計しよう、というアイデアです。みんなが同じ“ベース”を共有していれば、チェーン間の橋渡しが滑らかになって、ユーザー体験が向上します。
Based RollupはEthereum L1を利用してトランザクションの順序付けを行い、分散性と相互運用性を強化します。
4-2) ネイティブロールアップ(Native Rollup)
さらに一歩進んで、Ethereum L1にZK-EVMなどを直接組み込み、L2を“本体の機能”に近づける構想です。Native RollupはEVM状態遷移をL1で直接検証することで、信頼性の高いスケーリングを実現します。
これが実現すれば、ブロックチェーンの境界が曖昧になり、「L2に移動する」という概念すらほぼ意識しなくなるかもしれません。
💡ネイティブロールアップの実現時期:この点はまだ流動的です。長期的な計画であり、ハードフォークが必要になるという話も。すぐにサクっとできるわけではないので、まだまだ数年後の話かと。
ただ、Justin Drake(Ethereum Foundationの研究者で、ZK技術やスケーリングソリューションに関する専門家として有名な人)が「ネイティブロールアップはそんなに遠くないかもー!」と発言したことで、実現への期待感が高まりました。
5. ブロブ(blobs)拡張と「PeerDAS」の話
Blobsはレイヤー2がデータをまとめて保管するための仕組みで、EIP-4844で本格導入されました。
レイヤー2がブロブを利用することで、取引データを大容量で安く保存できる。
ただし、ブロブに上限があるため、需要が増えると料金が高騰することも。
そこで、PeerDASという仕組みでブロブを分割・分散し、より多くのデータを収容しようという開発が進んでいます。もしうまくいけば、現在の何倍ものユーザーが同時利用してもガス代が暴騰しにくくなるでしょう。
💡PeerDAS(Peer Data Availability Sampling):Ethereumのスケーラビリティを向上させるための技術。ノードがすべてのデータを保存することなく、データの一部だけをランダムにチェックして、全体が問題ないかを確かめる仕組みです。
6. BoltやFabricなど、新たなプロトコルの登場
最近「Bolt」というプロトコルがメインネットで始動し、話題を集めました。
Boltはバリデータ(ブロックを作る人)同士が事前に“このブロックを出すよ〜”とコミットし合う仕組みを使い、ほぼサブ秒(1秒以下)での取引確認を目指しているそうです。
また「Fabric」というイニシアチブも登場し、「レイヤー2の標準化」を進めるコミュニティとして注目されています。FabricはEthereumのレイヤー2エコシステム内で『Based Rollup』の標準化と相互運用性向上を目指すコミュニティ主導の取り組みです
これらはいずれもEthereumの「使いやすさ」を底上げする取り組みで、業界全体の連携(コーディネーション)を加速させる可能性が期待されています。
💡バリデータ:EthereumではPoS(プルーフ・オブ・ステーク)に移行したため、ETHを担保にブロック提案・検証を行う参加者を指します。Boltの取り組みは、このバリデータたちの提案をさらに効率よく運用する構想です。
7. マイクロストラテジー的アプローチ:ETH積立の新プロジェクト
MicroStrategyという会社が、会社として巨額資金を集めてビットコインを積み増す戦略をとっているのは周知の通りです。
これまで買いまくったBTCの総量は、いくらだと思います?
実に、471,107 BTC!(今のレートで、約7.5兆円)
クレイジーですね。それで、これと似たことをEthereumでもやろうぜ!っていうプロジェクトが増えているわけです。
「ETH版マイクロストラテジー」と呼ばれる動き
投資家から資金を集め、ひたすらETHを買ってガチホする。
オンチェーンで管理するから、不正やごまかしができない。
値上がりすれば投資家に利益を還元!という流れ。
ただし、時価総額第二位のETHといえども、市場変動のリスクはビットコイン以上に大きいため、うまくいかなければ爆損する可能性もあります。あくまでも「面白い金融商品」として注目されていますが、リスク管理がカギになりそうです。最近ETH先生ずっと弱いしね。
💡DeFi(分散型金融):銀行などの中央管理者を通さず、スマートコントラクトを利用して融資・トレード・保険などを行う仕組みのこと。対義語はCeFiです。ETHの積立戦略もDeFiの一角として注目されています。
8. ZKはEthereumのエンドゲーム?
ZK(ゼロ知識証明)技術は、Ethereumのスケーラビリティとプライバシー保護を一気に引き上げる「最終兵器」的に語られがちです。
取引を暗号で証明し、内容を隠したまま「正しい」と確認できる。
巨大な計算をオフチェーンでやって、証明だけオンチェーンに載せればガス代を節約できる。
ただし高度な暗号数学が必要で、現在も研究と開発が盛んに行われている。
Vitalik Buterin(Ethereum共同創設者)やJustin Drakeらが「ZKロールアップを活用すれば、将来的にEthereumは超大規模化しても大丈夫」と公言しており、いま最も勢いのあるトピックの一つです。
まとめ
ってことでココマデの話をザクッとまとめますと、
EEAが活性化:企業がEthereum導入に本腰。ビジネス指標作りなどで、より具体的に成果を見える化。
Pectraアップグレード:EIP-4844によるブロブ強化など、多数の改善が一挙に導入予定(2025年3月)。
L2大躍進:OptimismやArbitrum、ZK Syncなどが手数料を下げ、ユーザー増を牽引。
ベース&ネイティブロールアップ:将来はL2とL1の境界が消え、完全な一体感が目指されている。
Blobs拡張:PeerDASなどの技術で大容量データ処理を実現し、スケールしやすいEthereumへ。
MicroStrategy的手法(ETH積立):オンチェーンで透明性を保ちつつ、大規模投資をする流れが注目。
ZKはエンドゲーム:プライバシー・高速化の切り札として研究が進み、実用化が待たれる段階に。
って感じですかね。
最近はなかなか注目を浴びないイーサリアムですが、実は水面下では着実にアップグレードの連続や新プロトコルの登場で、Ethereumの世界は加速度的に変化中で、アツいです。
イーサリアム財団のリーダーシップへの疑問が呈されて、日本人のコアメンバーの女性が糾弾されたりして現在荒れ狂っておりますが、ここの動向次第でも、中期的な命運が分かれるかも知れませんね。
ここ最近も、「もうこれ以上追いつけない…」と思うほど進化が速いですが、逆に言えば「今がいちばん面白い時期」かもしれないなーとも思いますね。
技術や仕組みは難しくても、中核部分は「より多くの人に安全・安価・高速に使ってもらいたい」という、極めてシンプルな目標です。
引き続き追いかけ巻くって、ホットな話題を分かりやすくお伝えしていきたいと思います。
読者のみなさまも、興味が湧いたら、ニュースを追ったり、実際にレイヤー2を使ってみたりすると、「未来のインターネット」感を少し味わえるのでオススメです。
それでは。
※画像引用:https://news.bitcoin.com/