NON HUMAN通信 —AI×Cryptoで加速する新世界への扉—

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【前編】伝説のハッカーGrifterが歩んだ道〜犯罪、軍隊、そしてDEF CONから学ぶサイバーセキュリティの未来
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【前編】伝説のハッカーGrifterが歩んだ道〜犯罪、軍隊、そしてDEF CONから学ぶサイバーセキュリティの未来

「ハッカー」は天才?悪人?リアルな実像は、実際にはずっと複雑で、波瀾万丈で、そしてビックリするほど人間臭い物語 に満ちています。天才ハッカーGrifterの半生を紐解きます。

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Kanerin
Apr 28, 2025
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【前編】伝説のハッカーGrifterが歩んだ道〜犯罪、軍隊、そしてDEF CONから学ぶサイバーセキュリティの未来
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「ハッカー」… この言葉に、どんなイメージが浮かびますか?
映画やドラマで見るような、暗い部屋でカタカタとキーボードを叩き、どんなシステムにも侵入してしまう天才?それとも、ニュースで聞く、企業や政府を狙うサイバー攻撃の犯人でしょうか。どちらも、メディアが作り上げた一面ではありますが、その実像は、もっとずっと複雑で、波瀾万丈で、そしてビックリするほど人間臭い物語 に満ちているんですよ!

今回、皆さんと一緒に深く潜ってみたいのは、まさにそんな物語の世界です。僕がいつも刺激をもらっている大好きなポッドキャストで紹介された、一人の伝説的なハッカー、Neil Wyler、またの名を Grifter の半生です。彼の人生を知ると、きっと皆さんの「ハッカー」に対するイメージは、ガラリと変わるはずです。

そして、それは遠い国の話ではなく、変化の激しい現代を生きる私たち、特に新しい技術で未来を切り開こうとしているビジネスパーソンにとって、他人事ではない、多くの気づきを与えてくれると思うんです。

想像してみてください。

アメリカ、ニューヨーク郊外の、決して恵まれたとは言えない環境で育ち、若い頃にはサイバー犯罪を含む様々な悪事に手を染めてしまった少年が、ある日、人生を変えようと決意して軍隊に飛び込む。そこで叩き込まれた規律と「誠実さ」という、それまでの人生にはなかった価値観を胸に刻み、今度はハッカーたちが集う世界へ。世界最大級のハッカーの祭典「DEF CON(デフコン)」を黎明期から支え、その文化を創り上げる中心人物になっていく。さらに、一流企業や政府関係者が集うプロ向けのカンファレンス「Black Hat(ブラックハット)」では、世界で最も危険なネットワーク環境を守る最前線の指揮官を務め、やがてサイバーセキュリティ業界の重鎮として、国の安全保障にまで影響を与える存在になる…。まるで壮大な映画のような、信じられないような道のりですよね。

このGrifterの物語には、単なる技術的なサクセスストーリーを超えた、たくさんの宝物が詰まっています。ハッカー文化の知られざる裏側、コミュニティというものが持つ計り知れない力、そして日々進化するサイバー攻撃とそれに対する防御の、息詰まるような攻防のリアル…。これらはすべて、僕たちがこれから向き合っていくであろう未来の課題やチャンスを読み解くためのヒントに満ちている、と僕は強く感じています。

僕かねりんは、ブロックチェーンやAIといった、ちょっと先の未来を感じさせるテクノロジーの領域で、日々リサーチをしたり、新しいサービスやプロダクトのアイデアを考えたり、それを形にするお手伝いをしたりしています。
技術がどう社会を変え、私たちの生活を豊かにしていくのか、その可能性にワクワクする一方で、それがもたらすリスクや課題にも真剣に向き合っています。

捜査指揮官としてサイバー犯罪捜査にも携わっていた過去もあるからこそ、Grifterのような人物の、光も影も含んだリアルな物語は、僕たちが技術とどう向き合い、どう未来を築いていくべきかを考える上で、示唆に富むなぁ〜と感じるんですよね。

さて、前置きが少し長くなりました。
ここからは、Grifterの数奇な運命をたどりながら、僕が特に「これは!」と感じた核心的なテーマに沿って、皆さんと一緒にその物語の世界に深くダイブしていきましょう。心の準備はいいですか?

1. ステレオタイプをぶち壊せ!〜 一人のハッカー、Grifterの誕生と驚くべき進化

物語の舞台は1980年代、アメリカ東海岸、ニューヨーク州ロングアイランド。
GrifterことNeil Wyler少年が育ったのは、華やかなニューヨーク市のイメージとは少し違う、将来への希望が見えにくい、どこか閉塞感が漂う地域でした。彼が後に名乗ることになる「Grifter」というハンドルネーム。偶然、辞書で見つけたこの言葉は、「詐欺師」とか「お祭りで怪しい見世物やゲームを仕切る人」といった意味を持っています。日本の言葉で言うなら、「食わせ者」とか「一癖も二癖もあるヤツ」みたいなニュアンスでしょうか。なんだか、その後の彼の型破りな人生を暗示しているようにも思えますよね。

そんな彼が、人生を変えることになる「魔法の箱」、コンピューターと出会ったのは、ほんの偶然でした。両親が離婚し、父親の兄弟、つまり叔父さんがコンピューター技術者だったのです。80年代のコンピューターといえば、今のスマホのように誰もが簡単に使えるものではありません。専門知識がなければ、電源を入れることすら一苦労。でも、Neil少年は、彼自身が持っていたADHD(注意欠陥・多動性障害)の特性が良い方向に作用したのかもしれません、他のどんなことにも集中できないのに、この論理的で、すぐに反応を返してくれる機械の塊には、まるで磁石のように引きつけられ、時間を忘れて没頭していったのです。

「他のことは全然ダメだったけど、コンピューターや電子機器のことなら、何時間でもぶっ通しでいじっていられた」と彼は語ります。これ、何かに熱中した経験のある人なら、すごくよく分かる感覚じゃないでしょうか? 僕も興味のある技術論文を読み始めると、気づけば窓の外が明るくなっていた…なんてことが(たまにですが)あります(笑)。この、周りから見れば少し変わっているかもしれないけれど、好きなことに対する 驚異的なまでの集中力 が、後の彼の技術者としての才能を開花させる原動力となったのは間違いありません。

彼のオンラインの世界への入り口は、当時の多くのコンピューター少年と同じく、海賊版ゲームを手に入れるための冒険でした。ピー、ガラガラ…という懐かしい音を立てながら、電話回線を使ってコンピューター同士を繋ぐ「BBS(Bulletin Board System:電子掲示板)」という世界にアクセスする。今で言うインターネットの原型のようなものです。いやぁ懐かしい。
モデムという機械の設定に悪戦苦闘し、やっとの思いで繋がったBBSからダウンロードしたゲームをインストールしたら、叔父さんの大切なコンピューターがウイルスに感染して動かなくなってしまった…!なんていう失敗の連続。でも、彼はそこで諦めませんでした。なぜ動かないのか、どうすれば直るのか、必死で調べ、試し、また壊し…。この 試行錯誤の繰り返し の中で、彼は誰に教わるでもなく、コンピューターシステムの深い仕組みと、どんな困難な問題にも粘り強く立ち向かう 実践的なトラブルシューティング能力 を、まるで呼吸をするように身につけていったのです。まさに、「習うより慣れろ」「失敗は成功のもと」を地で行く学び方ですよね。

当時のオンラインの世界は、接続するにも専門知識が必要だったためか、匿名性が高く、年齢や立場に関係なくコミュニケーションが取れる雰囲気がありました。まだ10歳そこそこだったNeil少年も、背伸びして大人びたフリをしながら、大人たちと対等にやり取りをしていました。そして、海賊版ゲームを探し求める中で、彼はさらにディープな、禁断の世界への扉を開けてしまいます。それが、ハッカーたちが集うBBS でした。

そこはまるで、インターネットの裏路地にひっそりと存在する、秘密の会員制クラブのような場所でした。見たこともないようなコンピューターの操作コマンド、システムの内部構造を暴くような解説文書、そして中にはコンピューターウイルスを自作する方法まで… 一般のBBSでは決して目にすることのできない、危険で魅力的な情報が、宝の山のように無造作に転がっていました。「なんだ、この世界は!?」彼は電気的な衝撃を受けます。自分の部屋にいながらにして、物理的には決して触れることのできない、地球の裏側にあるかもしれないコンピューターを、このキーボード一つで操ることができるかもしれない… その途方もない可能性に、彼は完全に心を奪われてしまいました。「I was in.(完全にハマった)」という彼の言葉には、その時の、まるで新しい世界を発見した冒険家のような興奮が凝縮されているようです。例えば、オランダのアムステルダムにあるコンピューターに不正アクセスし、そのハードディスクが回転する音を想像するだけで、まるで自分が世界を支配しているかのような、危うい全能感を感じていたのかもしれません。

しかし、このデジタル世界でのスリリングな冒険とは裏腹に、彼の現実世界での生活は、ますます荒んだものになっていきました。彼が育った地域では、万引き、詐欺、車や家への侵入、そして暴力沙汰が日常風景。「まあ、正直言って、良い子じゃなかったね。そのツケは、今も払い続けてるつもりだけど」と彼は率直に認めています。特に喧嘩が好きで、理由もなく他人に絡んだり、一人で多人数を相手にしたりすることもあったとか。彼にとって、それが「普通」であり、テレビドラマで見るような平和な家庭や社会は、まるで現実感のないファンタジーの世界のように感じられたと言います。この環境が、彼の「善悪」の判断基準を歪め、後に彼がより大きな犯罪へと足を踏み入れてしまう際の、心理的な抵抗感を麻痺させてしまったことは、想像に難くありません。

そしてついに、コンピューターの世界で得た知識は、現実世界の犯罪と結びついてしまいます。

彼は友人たちに「カーディング」の手口を教えます。これは、不正に入手した他人のクレジットカード情報を使い、主にオンラインショッピングで品物を騙し取る詐欺のことです。彼らは、コンピューター部品や当時流行していたストリート系の高価な衣類などを注文しては、配達先を誰も住んでいない空き家に指定。配達員には「不在にするから、荷物は玄関マットの下にでも隠しておいてくれ」といったメモを残しておく、という巧妙な手口を使っていました。手に入れた品物は仲間内で山分けし、残りは転売して現金に変える。昼間は街をうろつく不良少年、夜はデジタルの世界を駆け巡る侵入者。まるでジキルとハイドのように、彼は混沌とした現実と、非合法ながらも彼なりのルールで動くデジタルの世界を、同時に生きていたのです。

彼の人生が、さらに危うい方向へと舵を切る決定的な出来事が起きたのは、彼が15歳の時でした。ある日、彼は偶然にも、アメリカの大手クレジットカード会社のシステムへの侵入に成功してしまいます。最初はどこの会社のシステムかも分からず、好奇心のままに内部を探索していたところ、新規のクレジットカードを発行する際の手順が書かれた、社内向けの研修マニュアルを発見してしまったのです。「これ、もしかして、俺でもカード作れちゃうんじゃ…?」そんな悪魔の囁きが聞こえたのかもしれません。彼は、まるでゲームの裏技を試すかのように、マニュアルに書かれた手順に従って、架空の人物の名前(偽名)と、例の空き家の住所を使って、クレジットカードの発行操作を実行してしまいます。

数日後。彼は恐る恐る、指定した空き家の郵便受けを覗き込みました。すると、そこには… 見覚えのある、あのクレジットカード会社のロゴが入った、一通の封筒が届いていたのです。震える手で封筒を開けると、中には、彼がシステム上で作り出した偽名のエンボス加工された、プラスチック製のカードが、まるで本物の輝きを放って収まっていました…!「心臓が口から飛び出るかと思ったよ。やった!っていう歓喜と、ヤバいことをしてしまったっていう恐怖が、頭の中でぐちゃぐちゃになった感じだった」。彼は、その時の全身が粟立つような衝撃を、そう振り返ります。これはもう、画面の中だけの遊びじゃない。「本物の犯罪」に手を染めてしまったのだ、と。血の気が引くと同時に、全身がカッと熱くなるような、パニックに近い興奮を覚えたことでしょう。

カードの利用限度額は5,000ドル。日本円にして数十万円。15歳の少年が手にするには、あまりにも大きすぎる金額です。しかし、彼はすぐにはそのカードを使いませんでした。まだ子供の自分が、急に高額な買い物をしたら、すぐに怪しまれて捕まってしまうだろう、と考えたのです。ここには、単なる衝動に任せた行動とは違う、彼の 妙に冷静な計算高さ が見て取れます。彼はまず、これが一度きりの偶然の成功ではないことを確かめる必要性を感じました。別の偽名、別の空き家の住所を使って、再度カード発行を試み、それも成功させます。再現性を確認し、リスクを確信した上で、彼はより安全に現金化する方法を考え始めました。

そして彼が思いついたのは、以前から顔見知りだった、友人の父親で、裏社会との繋がりを持つ人物に接触することでした。「実は、すごい限度額のクレジットカードを手に入れられるルートがあるんだけど、自分で使うのはリスクが高すぎる。あなたの知り合いで、こういうのを欲しがってる人はいないかな?」単刀直入な、しかし危険な提案。相手はすぐに興味を示しました。「ほう、そいつは面白い。まずは証拠を見せてみろ」。Grifterは、最初に手に入れたカードをその場で渡し、見返りとして、カードの限度額の10%にあたる500ドルを現金で受け取りました。

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