YouTube20年、巨大テック規制、AI音声技術の最前線〜僕たちの未来を変える力
YouTubeの進化からGoogle独禁法、EUの規制強化、そしてMKBHDのAI吹き替え実験まで。巨大テックの動向とAIの実用化、グローバル市場の現実を、僕かねりんが専門家の視点で読み解き、明るい未来へのヒントを探ります。
最近、世界を揺るがすような大きなニュースが続いていますよね。巨大IT企業の動き、AIの驚くような進化、そしてグローバルなビジネスの難しさ…なんだか変化が激しすぎて、ついていくのが大変!と感じている人も多いんじゃないでしょうか。
今回、海外の人気テック系ポッドキャストのエピソードを深掘り・分析する機会があって、そこで語られていた内容が、まさに今の時代の大きな変化〜
「巨大プラットフォームの影響力と規制」
「AI技術の実用化と課題」
「グローバル市場への挑戦」
という3つの重要なテーマに集約されていることに気づきました。
これらの波は、単独でもインパクトが大きいけれど、実は互いに複雑に絡み合いながら、僕たちの仕事や生活、そして社会のあり方を根底から変えようとしています。
今日のニュースレターでは、この3つの大きな波の正体と、その先にどんな未来が待っているのか、僕なりの視点も交えながら、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。ちょっと長くなるかもしれませんが、未来へのヒントがきっと見つかるはず。ぜひ最後までお付き合いください!
1. 巨大プラットフォームの力と「見えざる手」〜規制は未来をどう変える?
まず考えたいのが、僕たちの生活に深く浸透している「プラットフォーム」の話です。
今回のポッドキャストでは、YouTubeが誕生から20周年を迎えたことが話題になっていました。20年前、「Me at the zoo」という最初の動画がアップロードされた頃、誰が今の姿を想像できたでしょうか?
今やYouTubeは、月間アクティブユーザーが25億人を超え、世界で2番目に訪問者の多いウェブサイト。単に面白い動画を見る場所じゃなくて、新しい情報を学んだり(ユーザーの9割が新製品を発見!)、スキルを磨いたり、多様な文化が生まれたりする、現代社会のインフラとも言える存在になっています。ポッドキャストのホストたちが挙げていたお気に入りのチャンネル〜科学を面白く解説するVsauceや、映画の別エンディングを描くHISHEなど〜を見ても、YouTubeがいかに多様な才能を育て、僕たちの知的好奇心や楽しみを支えてきたかが分かりますよね。
でも、その影響力が大きくなりすぎたことで、新たな問題も生まれています。それが、巨大テック企業に対する「規制」の動きです。
Google独占禁止法訴訟〜何が問題なのか?
今、アメリカの司法省(DOJ)がGoogleに対して起こしている独占禁止法訴訟は、まさにその象徴です。裁判所は、Googleが検索市場や広告市場で、違法なやり方で独占的な地位を維持してきたと認定しました。
具体的に問題視されているのは、例えばこんなことです。
デフォルト検索契約
Googleは、iPhoneの標準検索エンジンになるために、Appleに年間200億ドル(日本円で約3兆円!)もの大金を支払っていたことが明らかになりました。スマホを買った時、最初からGoogle検索が設定されているのは、こういう背景があるんですね。ほとんどの人は設定を変えないので、Googleは圧倒的に有利な立場でユーザーとデータを集め続けられる。これが他の検索エンジンの競争を妨げている、というのがDOJの主張です。Chromeブラウザ
世界シェアNo.1のブラウザChromeも問題視されています。検索エンジンとブラウザを同じ会社が持っていることで、ユーザーの情報を集めたり、自社サービスに誘導したりする上で有利になりすぎている、と。だからDOJは、なんとChrome部門の売却まで要求しています。
他にも、Googleが持つ膨大な検索データを競合にも使えるようにすべき、なんていう提案も出ています。これが実現したら、BingやDuckDuckGoみたいな他の検索エンジンがもっと使いやすくなるかもしれないし、もしかしたらAppleやOpenAIが新しい検索サービスを本格的に始めて、Google一強の時代が終わる…なんて可能性もゼロじゃないわけです。
EUのデジタル市場法 (DMA)〜ヨーロッパからの圧力
ヨーロッパでも、EUがデジタル市場法(DMA)という新しいルールで、巨大プラットフォームへの規制を強めています。最近、AppleとMeta(FacebookやInstagramの親会社)に、初めてDMA違反で罰金が科されました。
Appleへは約900億円
iPhoneで、AppleのApp Store以外からアプリを入れたり、アプリ内で外部の安いプランに誘導したりすることを、事実上難しくしていたことが問題視されました。「ルールには従っているように見せかけて、実質は骨抜きにしてるよね?」とEUに判断されたわけです。Metaへは約360億円
Facebookなどで「広告を受け入れるか、有料プランに入るか」という二択を迫ったことが、「ユーザーが自由にデータ利用を選択できる権利を侵害している」と判断されました。
罰金の額自体は、巨大企業にとっては「痛くもかゆくもない」なんて声もありますが、重要なのは、EUが本気でプラットフォームのビジネス慣行を変えさせようとしている、という点です。
僕たちへの影響は? かねりん視点
「巨大企業と政府の話でしょ?」と思うかもしれませんが、これは僕たちの仕事や生活にも無関係ではありません。
Google検索の仕組みが変われば、自社のウェブサイトやブログへのアクセス数が変わるかもしれない。SEOの常識が通用しなくなる可能性だってあります。アプリ開発者にとっては、AppleのApp Storeの手数料やルールが変わることで、ビジネスモデルを見直す必要が出てくるかもしれません。
僕自身、ブロックチェーン技術のリサーチなどを通じて感じるのは、こうした中央集権的なプラットフォームに情報や権力が集中しすぎることのリスクです。便利さの裏側で、僕たちは知らず知らずのうちに選択肢を狭められたり、プラットフォームの都合に振り回されたりしているのかもしれない。
もちろん、規制が行き過ぎると、イノベーションが阻害されたり、サービスの質が落ちたりする心配もあります。バランスが難しいところですが、こうした動きは、より公平で透明性の高いデジタル社会を目指す上での重要な一歩と言えるんじゃないでしょうか。将来的には、ブロックチェーンのような分散型技術が、プラットフォーム依存から脱却するための新しい選択肢を提供してくれる可能性にも、僕は密かに期待しています。
2. AI音声は「魔法の杖」か?〜現場で見えてきたリアルな可能性と壁
次に注目したいのが、今まさに進化の真っ只中にある「AI」です。
チャットAIや画像生成AIなど、その能力には驚かされるばかりですが、実際にビジネスやコンテンツ制作の現場で使おうとすると、見えてくるリアルな課題もあります。
トップクリエイターの挑戦〜MKBHDのAI吹き替え実験
YouTubeチャンネル登録者数約2000万人のMKBHD(Marques Brownlee)は、自身のYouTubeチャンネルで、動画を多言語に吹き替える実験をしています。彼のチャンネルは世界中に視聴者がいて、特にインドはアメリカに次いで2番目に多いそうです。
そこで、英語以外の視聴者にもっと見てもらうために、ヒンディー語やスペイン語の吹き替え版を作ろうと考えたわけです。
ここで、彼が直面したのが「人間 vs AI」のジレンマです。
人力吹き替え
プロの声優さんにお願いすれば、翻訳の質も高く、感情のこもった自然な仕上がりになる。でも、時間がかかる(4〜5日!)し、コストも高い。何より、MKBHD自身の声じゃないのがネック。AI吹き替え
AIを使えば、圧倒的に速い(24時間以内、同時公開も可能!)し、コストも安い。しかも、MKBHD本人の声に似せて吹き替えることもできる。でも、翻訳がちょっと不自然だったり、微妙なニュアンスが伝わらなかったりするリスクがある。AIの声って、まだどこかロボットっぽい感じがすることもありますよね。
特に彼のチャンネルのような最新テクノロジーのレビュー動画では、公開のスピードが命。だから、MKBHDはAIのスピードに大きな魅力を感じているようです。でも、品質にはやっぱり不安がある。
彼は視聴者に「どっちがいい?」と意見を求めていました。
僕も最近ポッドキャスト番組を多く手掛けていてAI音声合成技術も研究しているので、まさにこの問題はクリティカル。これから日本でも多くのクリエイターや企業が今、まさに直面する悩みだと思います。
YouTubeの機能とインド市場の反応
YouTubeには、1つの動画に複数の言語の音声トラックを追加できる便利な機能があります。視聴者は自分の好きな言語を選べるし、YouTubeが自動で最適な言語を選んでくれることも。
これを使えば、言語ごとにチャンネルを分ける必要もなく、管理がかなり楽になります。実際、超人気YouTuberのMrBeastはこの機能を使って、視聴回数を大幅に増やしたそうです。
でも、MKBHDがインド市場でヒンディー語のAI吹き替え版を試したところ、面白い反応があったと言います。
多くのインドの視聴者にとっては、動画を開いたら自動でヒンディー語のAI音声が流れるようになった。これに対して、「ヒンディー語で見られて嬉しい!」という声もあったけども……
・「いつも英語で見てるのに、勝手にヒンディー語になるのは邪魔!」
・「AIの声質がイマイチ…」
といったネガティブなフィードバックもたっくさん寄せられたそうです。
インドはYouTubeの最大市場で、ヒンディー語話者も多いけど、実は同時に英語を理解する人も非常に多い。特にテクノロジー分野では、英語で情報を得ることに慣れている人も少なくないんですね。調査によっては、「外国語コンテンツは英語で見たい」という人が7割以上もいるというデータもあるくらいです。
この実験から分かるのは、単にAIで翻訳すればOK!という単純な話ではない、ということ。
技術的な品質はもちろん、ターゲットとする人々の視聴習慣や好み、文化的な背景まで考えないと、せっかくの試みが逆効果になってしまう可能性もあるわけです。
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